内定ちゃん。
2004年7月2日会ってきました。内定ちゃん。
有楽町駅前に現れた彼女は小柄で可愛らしい華奢な女の子。
就活を既に止めたらしく髪の色は茶色。
有楽町から歩いて銀座の和食屋へ。
「他にどこ決まってたの?」と聞くと、
「化粧品業界です。美容部員で。」と彼女。
へー。あ、なんかそれっぽい。
メイクばっちりだし、肌つやつやだし、おしゃれさんだし。
「迷ってるんです。どっちがいいのかなあ、って。
最初は人材かなあと思ってたけど、途中から化粧品に移って。」
「なんで人材だと思ったの?」
「人が好きだから・・・」
「そっか。で、次に化粧品に移ったのはなんで?」
「化粧品が好きだから・・・」
「・・・そか。そだよね。好きじゃないと受けないよね」
「わりと就活、ちゃんと考えてないまま決まっちゃって。
あんまりやりたいこととかって自分になくって・・・」
・・・・。
うーん。そうかあ。ま、そういう子もいるよなあ。
その後ご飯を食べながら色々と、長々と。
営業について、うちの会社について、話す。
残業について、辞めた同期について、等々も嘘偽りなく。
聞いてる彼女はやっぱり不安そうな表情。
「・・・あの、実はこないだ内定者で集まりがあって、その時に入社一年目の先輩がお話してくださったんですけど」
「ああ、だいたい毎年恒例なんだけど、内定者の集まりには新卒一年目が呼ばれるんだよ。一番近い先輩だからね」
「で、その時お話してくれてた先輩が、なんか・・・すごい・・・大変そうで。弱音とか愚痴とかもちろん私たちに出すわけじゃないんですけど、とにかくなんか辛そうな雰囲気を醸し出してて。」
「だろうね。あのね、入社一年目っていっちばん辛いのね。自分自身がいっぱいいっぱいで、余裕がない。で、そういう状況で内定者に会うと、もちろん本意じゃないけどそれが伝わっちゃう。
個人的には入社一年目の新卒だけじゃなくて、二年目、三年目、リーダー、支社長、いろーんな人間に会うほうがいいと思うよ。じゃないとイメージできないでしょ、自分の一年後、二年後、三年後・・って。」
「そうですね・・・」
「よかったら他の同期も紹介するよ?あ、あと後輩なら簡単に呼べる。少なくとも二年目、三年目、四年目なら会わせてあげられるよ。リーダーはちょっと相談してみないとわかんないけど。」
「ありがとうございます!」
そう、いろんな先輩に会ったほうがいい。
情報は多ければ多いほど、いい。
集めるだけ集めて、その全体像を見て。最後に自分自身で判断すればいいから。
「別にうちの会社だろうと、化粧品業界だろうと、他の道だろうと、関係なく、
せっかく今日会えたんだし。また不安に思うことあったらおいでね。」
そう言って別れた。
ふー。どうなるかなあ。彼女。
「やりたいことが特になくてなんとなく」じゃあ営業は厳しい。
大抵仕事って「自分の生活時間の中の大部分を占める」ことになるわけ
だけど、この業界のこの仕事は、特にそれが長いから。
ポジティブにやれないなら、ただただ苦痛の時間が長いだけなわけで。
それって、ものすごく不幸。
・・・彼女、美容部員のほうがいいような気がする。
でもそっちもぴんと来ないって言ってたからなあ。難しいなあ。
てなことを考えながら次のアポのために田町へと向かう。
JR田町駅には七夕の笹にたくさんの短冊がぶらさがってた。
「うちゅうひこうしになりたいです」
「おおきくなりたいです」
「もーにんぐむすめになりたい」
「おはなやさんになれますように」
「ぱいろっとになりたい」
「かわいくなれますように」
色鮮やかな短冊にくっきり、はっきりした文字。
風に揺れる、小っちゃな子たちの大っきな夢。
『自分が本当にやりたいことってわかんなくて・・・』彼女の言葉を思い出した。
くっきり、はっきりとした「なりたいもの」が子どもの頃には、きっと。
あの彼女にもあったはず、なのにね。
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