呼び出したのは休憩時間3分前。

「お茶でも飲みましょうか」

派遣先のビルを出て向かいの喫茶店に入る。

体調はいかがですかと訪ねると、大丈夫ですとかぼそい声。


    
私は珈琲を、スタッフは紅茶をオーダー。

程なくして運ばれてきたそれを互いに一口飲み、
先にカップを置いた私は一呼吸して口を開いた。


「・・・今のように欠勤が続くようであれば契約の継続は正直難しいんです。
派遣先責任者の方はひとまず1ヶ月の延長を、と仰って頂いていますが・・・。
出勤状況によっては・・・
次の1ヶ月で終了して頂くことになるかもしれない、と。」
    
目を伏せて俯くスタッフ。

その姿を凝視する私。
  
  


  
目の前に座っているのは私より一回りも年上の女性。
  

  

  
三分の二が沈黙の30分間。

冷めた珈琲は不味かった。
  
  

  
店を出ると雨は強くなっていた。

「領収書、きらなくていいんですか?」

会ってから最もはっきりした口調で言った一言に
傘を開きながらいいんです、と静かに返す。

  


          
そんな日だってある。

そんな日だって、あるんだ。
    
  

    
       

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